軒はあったほうが良いと世間一般的には言われていますよね。そこは同意します、しかしながら軒の出をいくつにした方が良いかの考え方がお客様はもちろんなのですが設計士でもあんまりわかっていない人が多くいるように思いますので今回は軒の出の最適解を知る方法をご紹介します。
施主としても軒の出の目安を知っておくとお家が立った後に後悔しにくくなりますので是非とも知識をつけてみて欲しいです。
軒の出はあったほうが良い

軒の出があると様々なメリットが生まれます。特に昨今の夏の暑さを初期段階で和らげてくれる重要な要素になりますので軒については一度検討してみてください。
最近の住宅ではシンプルなデザインにするべく軒0という外観が流行っていますが外観に特別なこだわりがないようでしたら採用はおすすめしません。LDKを開放的にするために大きな窓を設けても軒や庇がないと眩しくてかつ暑い部屋になりやすいので特に注意するようにしましょう。
日射遮蔽、眩しさ対策に有効
軒の出があることによる最大のメリットは日射遮蔽と眩しさ対策ができることにあります。日本は湿度が高いために気温が上がりやすく、不快感も感じやすいため、根本的に日射を防いで熱を室内に持ち込まないように対策すべきでしょう。
眩しさについても軒の出は大活躍してくれます。南面に大開口窓を設置するだけでは直射光が目に入り、かなり眩しく感じやすいため光源である太陽光を遮蔽するという意識を持っていると後からの後悔に繋がりにくいでしょう。
目線を遮るのに有効(カーテンレス)
軒の出は隣家からの視線をカットしてくれる役割も持ちます。目隠しフェンスは同じ目線の高さの視線をカットする役割を持つのですが隣家の2階からの視線は防ぎきれません。そういった場合に軒の出を確保していると視線をカットできますのでカーテンレスの室内空間を実現してくれるでしょう。
デッキスペースが熱くなるのを防いでくれる
軒の出を深くしておくとウッドデッキやタイルデッキが熱くなりすぎることを防いでくれます。夏場のタイルデッキは暑すぎて靴を履かないと出られず、子供にも気を遣う可能性も考えられますが軒の出が確保されていると日射が遮蔽されますのでデッキスペースをリビングの延長空間として夏場も活用しやすいでしょう。
外壁の劣化を抑えてくれる
軒の出があることによって家の外壁を雨や直射光から守ってくれます。特に白い外壁で軒のないお家だとサッシから雨垂れがしていて緑や黒色に変色しているのを見かけることがあります。軒の出があればここまでひどくなることはなかったのではと感じることがありますので白い外壁を検討している場合は少なくとも軒を出しておくことをお勧めします。
また軒は人間でいう傘の役割をしてくれますので雨を開けても濡れにくく、紫外線から私たち人間を守ってくれる役割を果たしてくれるのです。
外観を整えやすい
軒の出が深いとそれだけで邸宅感が増し、高級なお家に見えやすいです。和風なお家にするにも必須の手法でさらには奥行きのある軒下空間をメインの外観にすることもできますのでバリエーションに富んだ外観にすることが可能です。
軒の出はいくつが良いのか

結論から言うと軒の出の最適解は1m前後が一番バランスがよいと考えます。ただし軒下の空間を有効に活用したい要望があったり視線をしっかりと遮断したいというのであれば部分的に180cmの軒の出を採用して快適な空間を作り出せると満足度は非常に高くなるでしょう。
夏至の太陽高度と冬至の太陽高度から逆算する
夏至(6/21)の太陽高度は78.4度、冬至(12/22)の太陽高度は31.6度、春分(3/20)秋分(9/22)の太陽高度は55度です。これを知っているだけで軒の出の判断基準が定まることが多いです。
今の日本の気候でいくと夏の厳しさを基準として軒の出を考えていくことが大切なのではないかと感じています。ここから代表的な軒の出の特徴をご紹介しますのでご自分にあった軒の出を選択してみて欲しいです。
軒の出60cm

夏至の直射光が室内に入らない必要最低限の軒の出です。しかしながら夏至から秋分にかけて割と暑い季節帯の日射は1m程室内に入ってきてしまいますので夏を快適に過ごすには少し物足りないという印象です。
しかし冬であれば室内に日差しが入りやすく暖かく明るく生活できるメリットもあります。
軒の出90cm

一番バランスが良いと感じるのが90cmの軒の出です。この軒の出でも80cm程は秋分の日に直射光が室内に入るのですがソファに腰掛けていても日陰になりやすくまぶしく感じることもないでしょう。
軒の出180cm

ここまで軒を出せると夏至から秋分まで一切直射光を室内に入れなくて済みます。しかし春から夏にかけても直射光を遮断しますので少し肌寒く感じたり暗く感じるなどのデメリットがあることは知っておきましょう。
吹き抜けはかなり奥まで陽が指す
吹き抜けは軒の出があってもかなり奥まで直射光が刺すということを覚えておきましょう。抜き抜けを採用するのであればご紹介した180cmの軒とすれば相性もよく、開放的でさらに落ち着いた空間を作りやすいです。
吹き抜けの窓は基本的に電動のロールスクリーンを設置しておいて眩しさを軽減できると後悔ポイントを未然に防ぐことが可能です。
深い軒の出はデメリットもある

軒の出は深いと様々なメリットがある一方でデメリットもありますので理解を深めておいて欲しいです。
周辺の敷地状況次第では暗くなることもある
隣家が2階建てのお家で囲まれていて道路面以外にLDKを向けている場合などでは軒を出しすぎると暗い空間になりがちですので隣家との距離、高さ関係については設計士に日照の相談を行うべきでしょう。
費用が高くなる
軒の出が深くなると必然的に屋根の面積が大きくなりますので、費用が上がります。最近の住宅は窓を必要最低限にしていることも多いですので主要な部分だけ軒の出にこだわり建築コストを下げる工夫もしみましょう。
敷地が狭いと軒が出せない
敷地が狭いと室内空間を確保するために軒の出が出せない場合もあります。この場合も同様にメインの部分のみ軒を出すような工夫を凝らしてみましょう。
軒裏の素材にこだわろう
軒の出が深いとそれだけでオシャレな空間を演出しやすいです。せっかくの軒の出なので素材にこだわって帰宅の際やリビングから眺める風景にオシャレさを加えてみてください。
ブラック/ホワイトで洗練された印象に

ニチハ
木目調でグレードアップ

ニチハ
本物素材で垢抜け感を出す

チャネルオリジナル
分譲マンションはベランダが軒の出代わりになっていて奥行きは200cm程度ある
分譲マンションではベランダが必ずついていて奥行きが200cm程確保されてます。これは部屋が2階以上にあることがほとんどで外が抜けており、これだけ出しても部屋の中が暗くなりにくからです。
戸建て住宅の場合でここまで軒を出すことも全然良いのですが隣家からかなりの距離を確保できる場合に限定されるので気をつけておいてください。
深い軒の出はハウスメーカーや工務店によって採用できないことがある
深い軒の出は地元工務店や中小ハウスビルダーでは不得手としているケースが多いように思えます。理由としては構造的に難しいのとそういったオプションを最初から設定してないケースが多いからです。軒下空間の活用やパッシブ住宅などを要望されている場合は軒の出がしっかりと出せるかどうかはハウスメーカー選びの1つの基準にもなり得るでしょう
まとめ
今回は軒の出の最適解を考える上でのポイントをご紹介してきました。私個人としましては軒の出は絶対的にあったほうが良いものだと考えます。しかし外観にこだわりがあって箱型やシンプルさを追求されるのであればもちろんそれも良いと思います。軒のない住宅を検討の場合は外壁材や窓上の庇などで対策も可能ですので必ず検討して欲しいです。
軒を出すことで様々なメリットが生まれます。特に最近の流行りである中庭と繋げるLDKや大開口窓が連続するLDKにおいては軒の出や庇は必須かと思いますので、外部空間とのつながり、日射との付き合い方、明るさの確保などを総合的に判断できると満足感のあるお家づくりにつながっていくことでしょう。
